宮崎県の産業史 :農業・畜産から現代の挑戦へ

宮崎県の産業の歴史は、地理的条件や温暖な気候を活かし、農業や畜産業を中心に発展してきました。


1. 農業の歴史

宮崎県の農業は古代から地域経済の基盤となっており、気候や地形に適応した作物が栽培されてきました。

〔古代~中世〕

宮崎平野では、弥生時代から稲作が盛んに行われていました。

• 中世には荘園が形成され、米のほかに麦や雑穀が生産されるようになりました。

〔江戸時代〕

• 江戸時代、宮崎の多くは薩摩藩支配下にあり、藩による農業政策が進められました。

飫肥藩では、サツマイモやソバの栽培が奨励され、飢饉対策として重要視されました。

〔近代以降〕

• 明治時代になると農業技術が向上し、特に施設園芸(ピーマン、きゅうり、トマトなど)が発展しました。

• 戦後、温暖な気候を活かした果樹栽培が進み、特に「宮崎マンゴー(太陽のタマゴ)」は国内外で高い評価を受けています。


2. 畜産業の歴史

畜産業は宮崎県のもう一つの主要産業であり、近代化の中で大きく成長しました。

〔明治時代以前〕

• 明治以前は自給自足的な家畜飼育が中心で、牛や馬は農作業に使われていました。

〔明治~戦後〕

• 明治時代以降、政府の奨励政策により牛や豚の飼育が増加。

• 特に戦後には畜産業が飛躍的に発展し、「宮崎牛」は日本を代表するブランド和牛として認知されるようになりました。

• 養鶏業も盛んで、現在では宮崎県は鶏肉生産量で全国トップクラスを誇ります。特に「宮崎地鶏」は高い人気があります。

 


3. 水産業の歴史

宮崎県は太平洋に面しており、水産業も古くから地域経済を支える重要な産業でした。

沿岸漁業

• 日南市や串間市などの沿岸地域では、古くからカツオ、イワシ、マグロなどの漁業が行われていました。

〔養殖業〕

• 現代では養殖業が発展し、ブリやカンパチなどの養殖が全国有数の生産量を誇ります。

• 宮崎の養殖魚は国内市場だけでなく、海外にも輸出されています。


4. 林業の歴史

宮崎県の山間部では、林業が古くから盛んに行われてきました。

飫肥杉〕

• 江戸時代、飫肥藩では「飫肥杉」が主要な産業となり、建材として江戸や大阪に出荷されました。

飫肥杉は現在でも宮崎県を代表する木材として利用されています。

〔近代の林業

• 明治時代以降、再植林が進められ、計画的な森林経営が行われるようになりました。

• 木材加工業も発展し、住宅建材や家具などの生産が行われています。


5. 観光業の発展

宮崎県は温暖な気候や豊かな自然に恵まれ、観光業が重要な産業の一つとなっています。

〔戦後の観光ブーム〕

• 1950~60年代、新婚旅行の定番地として「青島」や「日南海岸」が全国的に人気を集めました。

• この時期、観光地としての整備が進み、宮崎は「新婚旅行のメッカ」と呼ばれるようになりました。

〔現在の観光地〕

高千穂峡やえびの高原など、自然景観が観光客を引きつけています。

• スポーツキャンプ地としても有名で、プロ野球やサッカーチームのキャンプ地として利用されています。


6. 工業の歴史宮崎県は農業・畜産業が中心ですが、工業も地域資源を活かして発展してきました。

〔食品加工業〕

• 畜産物や農産物を活用した食品加工業が盛んで、特にマンゴーや地鶏を使った加工食品が注目されています。

〔木材加工業〕

飫肥杉を利用した建材や家具の製造が行われています。


7. 宮崎県の産業の現代的課題と挑戦課題

少子高齢化や人口減少に伴う労働力不足。

• 一次産業の後継者問題。

〔挑戦〕

• スマート農業や養殖技術の高度化を進め、持続可能な産業構造を目指しています。

農畜産物のブランド化と輸出促進に力を入れています。


まとめ

宮崎県の産業の歴史は、自然環境を活かした一次産業が基盤となり、時代の変化とともに成長してきました。農業、畜産業、林業水産業、そして観光業が地域経済を支える柱となり、今もなおその発展を続けています。